パティシエになったら1度は考えるであろうこと。
「フランスで働いてみたい!」
ただ、実際に渡仏することを考えるとわからないことだらけ。私もほとんど何もわからないまま渡仏して、フランスで1年働きました。
渡仏してよかったか?と聞かれたら、間違いなく「よかった!」と即答します。たった1年間の滞在でも、パティシエとして、人間として大きく成長できることは間違いありません。私も大きく価値観が変わり、パティシエとして成長できたことはもちろんのこと、もっと世界中色々な国を見てみたいと思うようになりました。結果ワーキングホリデーの最後の1ヶ月はヨーロッパ周遊に使いました。そのことについては別の記事に書いています。
フランスで働くにはどのような方法がある?
フランスに限らず、海外に長期滞在するには「ビザ」が必要になります。パティシエとしてフランスで働く為に最も取得しやすいビザはワーキングホリデービザになります。その他に研修生ビザというビザがあるらしいのですが、私もよくわりません。聞いた話では、無給で働くことが前提だとか。。。
ワーキングホリデーの取得方法に付いてはまたかなり長くなってしまうので別の記事で書きたいと思います。
資金に余裕がある方、また個人での手続きに不安がある方のためにサポートしている会社もあるようです。カウンセリングは無料で受けれるので、話を聞いてみるだけでも良いかもしれません。一応リンクを貼っておきます。
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おそらく日本とフランスがワーキングホリデーの協定を結ぶ前(1999年以前)やまだ制度ができて間もない時代はビザなしで渡仏して、バレないように長期滞在できたかもしれません。現代ではまず不可能です。
ワーキングホリデーで滞在できる期間は1年ですが、それよりも長く滞在したい場合は、フランスで働いて雇用主に認めてもらうことで就労ビザを取得するか、フランス人、またはビザを持っている日本人と結婚して、配偶者ビザで滞在する方法があります。
雇用主に就労ビザを取得してもらう場合、お店によっては条件付きになることがあります。私が働いていたレストランの条件は、就労ビザ取得後最低3年はそのレストランで働くという条件付きでした。

働く場所は?
働く場所(お店)についてですが、最も良い方法は、日本で修行している間にコネクションを作って紹介してもらう方法です。私の場合はホテル勤務だった為、同僚の知り合いの料理人の紹介という形で、フランスの地方にある日本人シェフのフレンチレストランを紹介してもらいました。
それ以外で仕事を探すのであれば、パリで探すのが最も効率的かと思います。パリで情報を集めるための方法として、日本人宿に滞在する方法があるのですが、そのことについてはこちらの記事に書いています。
ワーキングホリデーでフランスへ行く方の為に少しでもお役に立てれば。
お店選びのポイントやフランスの銀行口座の開設、お得な鉄道チケットについても書いているので、参考にしてみてください。
滞在費は?
滞在費についてですが、この記事では渡仏後に必要な大まかな費用だけを書きます。(ざっくりいうと渡仏前に最低でも30万円〜かかります)
まずフランスに到着してすぐの行動ですが、ここは人それぞれだと思うので、私がどのように動いてどれくらい費用がかかったかに付いて書きます。
私は羽田空港から直通でパリのシャルル・ド・ゴール空港に到着しました。到着が夕方だったため、空港からパリ市内まで電車で行き、地下鉄を乗り継いで予約していたホテルへ。到着当日はこれだけ。空港からパリ市内までの電車は10€、地下鉄が1.9€、ホテルが40€
空港からパリ市内までは、電車、バス、タクシーと3つの選択肢がありますが、まずタクシーは絶対にやめたほうが良いです。到着口で親切を装って声をかけてきますが、だいたいぼったくられます。バスは個人的に苦手なので避けました。
電車と地下鉄を乗り継ぐ方法が最もスムーズかなと思います。
また渡仏経験者の方によく言われるのは「夜間移動は避けたほうが良い」ということ。確かに夜のパリを大荷物で移動はかなり怖いですね。できれば航空券を選ぶ際は昼に移動できるような旅程にしたほうが良いです。
翌日の午前に予約していた銀行口座の開設。デポジットとして400€。(解約時に返金されます)。午後から働く場所の地方へTGVで移動。80€かかりました。早めに予約していれば少し安く買えると思います。夕方に到着して、その日は簡単な打ち合わせと寮の案内だけで終わりました。住居を探す手間がかからないというのはとても助かりました。
翌日からすぐに仕事だったので、就業するまでにかかった費用は銀行のデポジットを含めて500€〜(日本円で6万円〜)です。
私の場合、到着から就業、住居が決まるまでほぼ最短だったので、もし渡仏後に探すとなると、1日の宿代だけでも20€〜かかります。

給料は?
給料についてですが、私がもらっていた額は月に950€です。そこから寮費が引かれて750€が残ります。それと別でチップがもらえることがありますが、月に20€〜多くても50€ぐらいだったと思います。正直かなり少ないです。しかしレストランで働いていたこともあり、仕事がある日は昼も夜も賄いがある為、食費はほとんどかかりませんでした。
パリは物価が高いため、もう少し給料も上がるかもしれません。
住居は?
すでに書きましたが、私の場合はお店の寮に住んでいました。人数が多い時期は相部屋になることもありました。ちなみに寮には日本人のみだったのでそれほどストレスはありませんでしたが、お店によっては多国籍になる場合もあるようです。
賃貸の場合、知人に聞いた話なので断言はできませんが、地方で400€〜、パリでは屋根裏の小さな部屋で350€〜 この辺りの情報は正直自信ありません。
語学力は?
渡仏を考えた時に大きな壁を感じるであろう語学力ですが、
行けばなんとかなります。
特にパティシエや料理人については、日本である程度働いていれば材料の名前、道具の名前、基本的な調理工程のフランス語は習得していると思うので、基本的な仕事に関してはなんとかなります。
とは言ったものの、事前に日常会話の基礎やフランス人の生活習慣については勉強していた方が良いです。
初めの数ヶ月だけ語学学校に通うという選択肢もありますが、よほど資金に余裕がある方以外にはオススメしません。現場でフランス人と接している方が断然習得は早いと思います。また、その学校に通うお金で。食べ歩きやフランスの地方、隣国への観光費用に使う方が有意義に時間もお金も使えると思います。
技術力は?
フランスでパティシエとして働くために、どれぐらいの技術料が必要か?についてですが、最低でも日本で3年は修行してからの方が良いです。
何の根拠もありませんが、おそらくフランス人のパティシエと日本人のパティシエの技術力を比べると平均値は圧倒的に日本人の方が高いと思います。
日本で技術を身につけて、渡仏すれば地方のレストランであればすぐにシェフパティシエを任される可能性もあります。
これから渡仏を考えている方へ
私が渡仏して感じたこと、帰国してから後悔したことを元に、これから渡仏される方が少しでも有意義なフランス生活をできるようにいくつかポイントを書いていきたいと思います。
まず1番に感じたことは資金に余裕がなさすぎたこと。
フランス人はよく休みます。私が働いていたレストランも日曜と月曜は定休日でしたし、夏、冬には2週間ずつのバカンスがあります。クリスマスも休みます。これだけ時間あるのでお金さえあれば、食べ歩きをして勉強することもできますし、フランスの様々な地方を回ることもできます。隣国のドイツ、イタリア、スペイン、ベルギーなどにはTGVでパリから2時間〜で行くことができます。
私は最後の1ヶ月間ヨーロッパ周遊をしましたが、かなりの貧乏旅行でした。
お金がなくても格安のバスで旅行はできます。詳しくはまた別な記事で書きますが、バルセロナまで8時間とかミラノまで12時間とか、かなり過酷な移動になります。
続いては語学力についてです。「フランス語が話せなくても何とかなる」と書きました。何とかはなりますが、やはり初めからある程度話せるに越したことはないです。特に私のように1年間のみの滞在と決めている場合、あっという間に時間がすぎてしまい、何とかなる程度のフランス語しか話せないままの帰国になってしまいます。今では学習アプリやオンラインでも気軽に講習を受けることができるので、挑戦してみても良いかもしれません。
最後に、パティシエとしてフランスで働くのならレストランをオススメします。もちろんケーキ屋でも良いのですが、やはり本場のフレンチのデセールに触れる機会というのは日本では得られない経験です。ショーケースで販売するケーキでは表現できない、動きのあるデザート、一瞬の香りを楽しむデザート、口どけを極限まで追求したデザートというのは日本、特に私は地方出身なのでなかなか触れられません。また常に先端を求められる東京ではこのフレンチでセールの経験は大きな武器になると思います。
たかが1年の経験ですが、これから渡仏される方が少しでも参考にして頂けたら幸いです。
良いフランス滞在になりますように!


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