コンビニスイーツの台頭、洋菓子チェーン店の大規模なマーケティングによる商品の価格低下によって、街の洋菓子店の中には経営が厳しい状況が続いています。
私は地方のホテルパティシエですが、併設のケーキショップの売上がここ2年で急激に減少しました。
ホテルという母体があるとはいえ、このままではもっと深刻な状況になりかねないと思い、売上を上げるための具体的な方法を考えました。
・お客さんが少なくなった
・売り上げが落ちた
・他のお店がどうしているのか知りたい
という方におすすめの記事です。
洋菓子店・ケーキ屋・パティスリーに活かせる方法なので、参考になればと思います。
目次
●商品のクオリティを上げる

売上を上げるためにまずは ”集客” からしたいと思ったのですが、私はまず商品の見直しから始めました。
コンビニスイーツとクオリティが変わらないのであれば、気軽に安価で購入できるコンビニ、もしくはもっとクオリティの高い洋菓子店にお客様は流れてしまいます。
せっかく集客しても、魅力的な商品がなければリピーターは獲得できないと考えました。
具体的な商品の内容
商品の内容ですがショーケースのケーキは定番のケーキが6割、流行のケーキを3割、地元の食材を使ったケーキを1割と割り振りました。
焼き菓子については後述します。
○定番のケーキ
私が働いている鹿児島では、新しい技術や材料を使ったケーキよりも定番のケーキが売れる傾向があります。
商品のランキングでは常に「苺のショートケーキ」「チョコレートケーキ」「モンブラン」が売上のトップ3に入ります。
売り方の工夫としては、まず苺のショートケーキの大きさを変えました。
以前は6号のホールを10カットで提供していましたが、これを8カットに変更しました。
原価としては上がりますが、ショーケースに入れた際に全体の見栄えも良くなり、ショートケーキ自体の売上も上がりました。
モンブランについては栗の種類を変えて複数のバリエーションを準備しました。
例としては、熊本県の栗を使い、「復興支援商品」としてモンブランを作りました。販売当初から人気商品となり今でも売上の上位に入っています。
○流行のケーキ
近年はシリコン型を使って、球体や立方体を始め複雑な形をしたケーキも簡単に作れるようになりました。
仕上げもグラッサージュでコーティングしたり、ピストレをしたり、断面の見えないケーキも流行しています。
このようなケーキの売り方の工夫としては、まず商品の断面図と詳しい説明を記載するようにしました。
今までもしてはいましたが、よりお客様目線で、丁寧に説明するように心がけました。
パティシエにとっては馴染みのあるケーキ、例えば「ザッハトルテ」などでも、簡単なお菓子の歴史(国や由来)を記載して、お客様に興味を持ってもらえるように工夫しました。
ネーミングをフランス語にしている場合はその意味や由来も解説すると良さそうです。
○地元の食材を使ったケーキ
こちらは観光客向けのケーキです。最近はネット通販で全国のお土産を購入できる時代となりました。
その上で、観光では地域限定のスイーツを求めて、洋菓子店を訪ねてくるお客様もいます。
お土産向けの焼き菓子は定番ですが、ショーケースのケーキについても地域限定の商品を作りました。
観光客の方は持ち帰りが難しいので、できればイートインスペースを確保しておきたいです。
イートインに関しては、近年のお客様の動向を考えるとぜひ小スペースでも確保した方が良いですし、観光で来店したお客様にとっては利用しやすいお店となります。
宣伝する際にも、「イートインスペース有り」と記載するだけでも、来店の可能性は上がります。
商品のクオリティを上げるのまとめ
商品の割合についてはお店のある地域、立地、客層によっても大きく変わってくると思います。
商品のクオリティを上げるためにも少し種類を絞って、1つの種類にかける時間を増やしても良いと思います。
私は始めに以前の商品から6割ほどに商品を絞って制作し直しました。
仕込みの流れができてから徐々に商品を増やして、今では8割ぐらいに増やしても安定して生産できるようになりました。
集客をする

商品の見直しと共に、”集客率アップ”の準備も進めます。
集客する方法はいくつかあり、すでに取り組んでいる物もあったのですが、再度見直して改善できる部分は修正をしました。
●ホームページの見直し・作成
まずはホームページの見直しをしました。ポイントとしては
「スマートホンで表示した時に見やすく・使いやすいホームページであるか?」
という点です。最近はアプリなどで簡単に検索できるので、ホームページへのアクセスはスマホがほとんどです。
スマートホンに対応していないホームページは情報が伝わりづらく、すぐにそのページから出て行ってしまいます。
スマホで見て、使いづらいと感じらすぐに修正、思い切って作り直すのも良いと思います。
デザインに不安のある方は、ホームページ作成サービスをいくつかご紹介するので参考にしてみてください。
●クラウドワークス
フリーのプログラマーに仕事を依頼することができます。ホームページ作成依頼で使われることの多いサービスです⬇︎
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●ココナラ
近年良く利用されている、依頼者と作成者をマッチングするサービスです。スマホアプリも使いやすく、見やすいのが特徴です⬇︎
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●おちゃのこさいさい
お店のホームページを簡単に作成できるサービスです。飲食店の作成実績も多く、作成の例も見ることができます⬇︎

●とりあえずHP
スマホで簡単にホームページのデザイン・編集ができるサービスです。個人事業、小規模起業向けのサービスで飲食店のホームページ作成の実績もあります⬇︎
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具体的な修正点
私が実際に修正した点としては
・お店の開店・閉店時間・定休日を見やすく配置
・お店の場所・アクセス方法を丁寧に書く
・駐車場の有無を記載
などです。私も実際に他のお店を調べて見て、感じたことです。商品の写真やコンセプトがお客様に伝わり「このお店に行きたい!」と思っても
・お店は何時からやってるのか?
・今日は定休日ではないか?
・どこにある?
・車で行っても大丈夫?
などがすぐにわからないと、ストレスになってしまいます。
私も実際に他のお店を調べて見て、お店の基本情報の記載がなかったり、記載場所がわかりづらいお店は結構ありました。
商品の魅力を伝えることも重要ですが、来店までの流れを作ることも必要かなと思いました。
ホームページの見直し・作成のまとめ
スマホで簡単に検索できる時代なので、ホームページの見やすさ・使いやすさは非常に重要になります。
商品の写真もスマホで簡単に撮影できますし、美味しく見えるように加工できるアプリも多数あります。
まだホームページを作成していない方は作成を、すでにお店のホームページがある方も、もう一度見直して見てはいかがでしょうか?
●SNSの利用

近年の飲食店の集客にSNSは必須と言えます。
ツイッター・インスタグラム・フェイスブックなどがありますが、私としてはインスタグラムに絞って運営するのが良いと考えました。
爆発的な拡散力についてはツイッターの方があると思いますが、持続的なフォロワー・ファンが付きやすいのはインスタグラムです。
インスタグラムからホームページへの流入もあるので、ここでもホームページの見直しが重要となってきます。
インスタグラムの具体的な運営方法
インスタグラムをうまく使えていない方は、すでにインスタグラムで多くのフォロワーを獲得しているお店を参考にすると思います。
私が働いている鹿児島県で例を上げると、鹿児島市の「フレンチブルー」さんが素敵なギャラリーを作っていて、魅力的なのでご紹介します⬇︎
商品の紹介・お店の休みの情報・イベントの告知をこまめにしていて、写真にも統一感があります。
2020年3月現在でフォロワー1700以上になっていて、鹿児島のケーキ屋さんとしてはかなり多くのフォロワーを獲得しています。
SNSの利用のまとめ
インスタグラムでフォロワーを獲得して集客するポイントとしては
・商品の魅力が伝わる写真撮影
・統一感のあるギャラリー
・細やかで親切な情報発信
私もインスタグラムを見直して、SNSの運営方法を見直しました。実際の投稿はサービススタッフに任せていますが、誰が投稿しても統一感が出るのように、簡単なマニュアルを作成しました。
爆発的にフォロワーが増えることはありませんが、徐々にフォロワー、インスタグラムを通した問い合わせも増え、効果を実感しています。
●キャッシュレス決済の導入
キャッシュレス決済も近年の飲食店にとっては必須となっています。しかし、洋菓子店ではいまだに導入されていないお店も多いのではないか?と感じています。
キャッシュレス決済とは今までクレジットカードが主流でしたが、現在はスマホを使った電子(QRコード)決済が急激に増えてきました。
私お店でも、お会計の際の電子決済について問い合わせが多くなったこともあり、導入することにしました。
スマホの電子決済
スマホの電子決済と言っても、種類がとにかく多いです。国内では「LINE Pay」、「PayPay」、などがありますが私のお店では「PayPay」を導入しました。
導入理由に関しては私の独断ではないのではっきりとはわからないのですが、「PayPay」が国内で利用者の多い電子決済サービスであるのは確かです。
私も実生活で利用していますし、定期的にキャンペーン・宣伝をしているので、これからも利用者が増えていくと思います。
「PayPay」の導入はこちらから⬇︎

より幅広く、海外の利用者向けの電子(QRコード)決済を考えるのならば、国内外98種類のQRコード決済ができる「Take Me Pay」というサービスもあります。
「Take Me Pay」はこちら⬇︎

クレジットカード決済
クレジットカード決済の導入は必須です。これだけキャッシュレス化が進んでいる中で、クレジットカードが使えない洋菓子店は多くあります。
クレジットカードの導入を勧める理由としては
・海外からのお客様が増えた
・大口の注文を受けられる
・共用のクレジットカードの利用が増えている
などがあります。
○海外からのお客様が増えた
海外からのお客様が増えていることはすでに承知かと思います。
日本はクレジットカード決済では後進国であり、海外ではクレジットカード決済が当たり前となっています。
海外からのお客様用のガイドブックにも、クレジットカード使用の可否が必ず記載されるので、選択肢に入れてもらうためにも導入は必須です。
○大口の注文を受けられる
洋菓子店経営の肝とも言える焼き菓子のセット販売。私のお店でも定期的に大口の注文が入ります。
一度に数万円〜数十万円の注文もあり、年間売上でも多くの割合を占めます。この大口の注文の場合、クレジットカード決済がほとんどです。
飲食店の情報サイトの「食べログ」や「Retty」でもクレジットカード使用の可否で検索できるようになっていて、導入していなけばこの時点でお店選びの選択肢から外れてしまいます。
○共用のクレジットカードの利用が増えている
こちらも近年増えているクレジットカードの利用方法です。会社や部署ごとにクレジットカードを共有して使い、経費の計算をしやすくしています。
大口の注文が入りやすく、1度利用してもらい気に入ってもらえると、継続した注文に繋がることがあります。
キャッシュレス決済の導入のまとめ
海外からのお客様の増加、日本国内でも電子決済・QRコード決済が爆発的に増えていることを考えると、キャッシュレス決済の導入は必須です。
クレジットカード決済の導入については、決済代行会社を一括で比較できるサービスもあるので、参考にして見てください⬇︎

●Googleマップの編集
こちらは実際の効果が目に見えないのですが、やっておいて損はない方法です。
Googleマップでお店を検索するとこのように表示されます⬇︎

※例として鹿児島市の「フレンチブルー」さんの情報です。
お店の画像・ホームページ・休業日などの情報が表示されます。
私も県外に旅行に行った際にマップで検索をすることがありますが、地図上で様々な情報が入るお店は信頼度が上がります。
逆に情報のあまりないお店は、1度マップを閉じて検索しなければならないため、後回しになる可能性が高いです。
情報がや写真が足りない・情報が間違っている場合は「情報の提案」から編集の依頼をすることができます。
また最近では、地図上の検索結果で上位に表示させるサービスもあり、集客に繋がる可能性もあるのでご紹介しておきます⬇︎

●イベント・行事の商品を計画する

イベントについては各洋菓子店がすでに取り組んでいると思いますが、私のお店で行ったイベントをご紹介します。
◉1月〜3月
・焼き菓子の福袋 ・バレンタイン ・節分 ・ひな祭り・ホワイトデー
◉4月〜6月
・イースター ・子供の日 ・母の日 ・父の日 ・子供の日 ・ロールケーキの日
◉7月〜9月
・サマーバレンタイン ・トロピカルフルーツフェア ・ロールケーキの日
◉10月〜12月
・秋の収穫祭 ・ハロウィン ・クリスマス
イベントの大小はありますが、毎月何かのイベントは開催するようにしています。
そしてイベント開催に当たって重要なのが、同時に次の告知やSNSの宣伝をすること。
次のイベントの告知をすることで、継続して来店してもらえる可能性は上がりますし、SNSをフォローしてもらえれば次回のイベントだけでなくその後のイベントの告知も継続して行うことができます。
私のお店が行った宣伝方法としては、
「イベント期間に来店、購入していただいたお客様に、お土産の焼き菓子をプレゼントする」
という方法。プレゼントの中に小さな告知用紙を入れておいて、自然と読んでもらえるよう工夫しました。
結果として、毎月イベントに来店していただけるリピーターの方も増えたので、ある程度効果はあるのかなと思います。
リピーターを獲得するためにお店のポイントカードの作成も効果的です。
●可能であればケーキバイキング
できるお店は限られますが、可能であれば「ケーキバイキングの開催」が集客に効果があります。
ケーキバイキング(ビュッフェ)はホテルなどの設備があって開催するのが一般的ですが、洋菓子店でもケーキバイキングを開催しているお店があります。
そのお店を例にすると、イートインスペースは最大6名、ショーケースの中からケーキを選び、ドリンクが付くという物。
料金は下記の通り⬇︎
●食べ放題、飲み放題、制限時間2時間:2750円(税込)
・ケーキセット1個+1ドリンク:715円
・ケーキセット3個+2ドリンク:1430円
・ケーキセット5個+2ドリンク:1870円
実際にどれぐらいの利用者がいて、どれぐらいの利益があるのかは分かりませんが、
「ケーキ食べ放題ができるお店」
というのは、インパクトがありますし、実際に話題にもなっています。
予約制にしておけば、小スペースでも開催することはできますし、大きな宣伝効果も期待できます。
●焼き菓子・ギフトの工夫

最後に焼き菓子・ギフトの工夫です。
まず私のお店で行ったこととしては
「焼き菓子の種類を増やす」
ということ。増やした理由としては、人気の洋菓子店に行った際に、焼き菓子が充実していたこと。そしてそのお店の口コミに焼き菓子の充実度・満足度について多く書かれていたこと。
「あのお店は焼き菓子が充実している」
というイメージがすでにできていて、集客につながっていました。
種類を増やす工夫
種類を増やす工夫としては、急激な仕込みの増加を避けるために同じ焼き菓子のフレーバーを増やしました。
具体的には、フィナンシェに「Jupe」を加えることでフレーバーを増やしました。一度に大量に仕込み、それぞれのフレーバーごとに配分するだけなので、効率的に仕込みをすることができます。
同じお菓子のフレーバー違いということでセット売りがしやすいですし、たくさんの焼き菓子が並ぶ焼き菓子コーナーの中でも統一感のある1角というのも目に留まりやすいです。
お土産用の商品の作成
県外・海外からの旅行者向けに、地域色の高い焼き菓子も複数用意しました。
お店の宣伝としても使いやすいですし、お店のリピーターの方からも
「県外から来た友人に勧めやすい」
と好評でした。
ギフト商品の工夫
洋菓子店の焼き菓子は、様々な場面でギフト・贈り物として利用されます。
その好みや必要な量は様々で、あらゆる需要に出来るだけ答えるため、箱やラッピングの種類を増やしました。
結果的に販売スタッフの負担が大きくなってしまいましたが、経験を積むうちにノウハウが出来上がり、お客様に的確な提案ができるようになっていました。
全体のまとめ
洋菓子店の売上をあげる7つの具体的な方法をご紹介しました。
まずは、コンビニスイーツ・チェーン店のお菓子に負けないクオリティを作ることが重要です。
そして集客のキーワードは
「スマホ」
です。
・スマホで見やすいホームページ
・SNSで映える投稿
・スマホを使ったキャッシュレス決済
・地図アプリからの流入
お店を探す上で早々に選択肢から外されないように、スマホからの流入は逃さないように対策は必須と言えます。
この記事がどなたかの参考になれば幸いです。
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